「探偵って、浮気調査以外に何を頼めるの?」「逆に、頼んではいけないことはあるの?」——探偵事務所への依頼を検討するとき、意外と知られていないのが探偵の業務範囲です。

この記事では、探偵業法に基づいて探偵に依頼できる調査と、法律上引き受けられない調査を一覧で整理します。依頼前にこの境界線を知っておくことで、違法な調査を依頼してしまうリスクや、「頼めると思っていたのにできなかった」というミスマッチを防げます。

この記事でわかること: 探偵に依頼できる7つの調査カテゴリ、法律で禁止されている調査の具体例、依頼者自身が罪に問われるケース、そして信頼できる事務所の見極め方を解説します。

探偵業法が定める「探偵業務」の定義

探偵の業務範囲を理解するには、まず探偵業法(探偵業の業務の適正化に関する法律)の定義を知る必要があります。

探偵業法第2条では、探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」と定義しています。

つまり、探偵が合法的に行えるのは**「聞き込み・尾行・張り込み」を手段とした情報収集**です。この範囲内であれば、さまざまな調査を引き受けることができます。なお、「探偵事務所」と「興信所」は名称が異なるだけで業務内容に法律上の違いはありません。詳しくは探偵事務所と興信所の違い|どちらに依頼すべき?で解説しています。

なお、2024年(令和6年)4月1日施行の探偵業法改正により、従来の探偵業届出証明書が廃止され、事業者は公安委員会から通知された届出番号を記載した「標識」を営業所に物理的に掲示する義務が課されました。同時に、自社ウェブサイト上にも標識を掲載することが義務付けられています。この改正により、無届の違法業者がネット広告を通じて活動することを防止する仕組みが強化されました。

探偵に依頼できる調査7カテゴリ

① 浮気・不貞調査

探偵への依頼で最も多いのが浮気調査です。配偶者や交際相手の行動を尾行・張り込みで監視し、不貞行為の証拠(ラブホテルや不倫相手の自宅への入退室写真など)を取得します。

探偵が作成する調査報告書は、離婚裁判や慰謝料請求で証拠として認められる水準で作成されます。浮気の証拠になるもの・ならないもので解説しているとおり、探偵の報告書は法的証拠としての証明力が高いのが特徴です。浮気調査と同時に不倫相手の身元(氏名・住所・勤務先)を特定することも可能です。身元特定の具体的な方法は不倫相手の身元を特定する方法で解説しています。

② 素行・行動調査

特定の人物の日常的な行動パターンを調査します。浮気調査と手法は同じですが、目的が異なります。

主な依頼目的は以下のとおりです。

  • 婚約者の生活実態の確認(交際相手の素行が心配なケース)
  • 子どもの行動調査(非行・いじめ・交友関係の確認)
  • 従業員の勤務実態の確認(サボり・副業・競合への情報流出の疑い)
  • 高齢の家族の日常生活の確認

③ 人探し・所在調査

行方が分からなくなった人の居場所を特定する調査です。

  • 家出した家族の捜索
  • 音信不通になった旧友・恩人の所在確認
  • 債務者の所在調査(貸したお金を返してもらうため)
  • 離婚後に連絡が途絶えた元配偶者の所在確認(養育費の請求など)

聞き込みや関係先への訪問、公開情報の調査などを組み合わせて所在を特定します。

④ 結婚前調査(身辺調査)

結婚を控えた相手やその家族の経歴・素行を調査します。

  • 学歴・職歴に虚偽がないか
  • 借金やギャンブル依存などの問題がないか
  • 犯罪歴・トラブル歴がないか
  • 交際関係に問題がないか(二股・既婚者でないか)

近年は結婚相談所やマッチングアプリで知り合った相手の身元確認を目的とした依頼が増加傾向にあります。

⑤ ストーカー・嫌がらせの証拠収集

ストーカー行為や近隣トラブルなどの嫌がらせの証拠を収集する調査です。

  • つきまとい行為の日時・場所・内容の記録
  • 嫌がらせ行為の写真・動画撮影
  • 加害者の特定(匿名の嫌がらせの場合)

警察に被害届を提出する際や、裁判でストーカー規制法に基づく接近禁止命令を申し立てる際の証拠として使用されます。

⑥ 企業・取引先調査

ビジネス上のリスクヘッジを目的とした調査です。

  • 取引先企業の信用調査(実態の確認)
  • 従業員の不正行為の調査(横領・情報漏えいの証拠収集)
  • 採用候補者のバックグラウンドチェック(経歴詐称の確認)
  • 競合他社の営業実態の調査(合法的な範囲で)

⑦ いたずら・被害の証拠収集

車への傷つけ、ゴミの不法投棄、器物損壊など、犯人が特定できない被害の証拠収集です。張り込みや隠しカメラの設置(依頼者の所有物・敷地内に限る)により、犯行の瞬間を記録します。

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探偵に依頼できないこと・違法になる調査

探偵の調査権限には明確な限界があります。以下の調査は法律に抵触するため、まともな探偵事務所であれば引き受けません。逆に言えば、以下の調査を「できる」と言う事務所は避けるべきです。

❌ 差別につながる身元調査

出身地(部落差別に関わる調査)、国籍、民族、信仰などを理由とした身元調査は、探偵業法の運用ガイドラインおよび各都道府県の条例で明確に禁止されています。「結婚相手の出身地を調べてほしい」という依頼であっても、差別目的と判断される場合は引き受けられません。

❌ 盗聴・盗撮

対象者の自宅や車に盗聴器を仕掛ける行為は、住居侵入罪やストーカー規制法に抵触します。探偵が行う「撮影」はあくまで公道や公共の場での尾行中の記録であり、私的空間への盗撮は違法です。

❌ 不正アクセス・情報の違法取得

他人のスマートフォンのロック解除、SNSアカウントへのログイン、メールの盗み見などは不正アクセス禁止法に違反します。LINEの内容を入手してほしいという依頼は、たとえ配偶者のスマホであっても引き受けられません。

❌ GPS機器の直接設置

探偵業者が対象者の車両にGPS機器を直接設置する行為は、旭川地裁令和6年判決で不法行為(プライバシー侵害)と認定されています。また、日弁連の懲戒処分により、無断設置で取得したGPSデータを裁判で証拠提出すること自体が弁護士倫理違反とされており、仮に取得しても法廷での活用は事実上不可能です。

GPS利用の法的リスクの詳細は浮気調査でGPSは使える?合法・違法の境界線で解説しています。

現在の優良な探偵事務所は、GPS機器を依頼者自身に設置してもらう方式(機材貸出+レクチャー)に限定するか、GPSを使わずに事前情報分析+ピンポイント尾行で証拠を確保しています。

❌ 別れさせ工作・復縁工作

「不倫相手と別れさせてほしい」「元パートナーと復縁させてほしい」といった工作行為は、探偵業法が定める「調査」の範囲外です。別れさせ屋・復縁屋を名乗る業者は存在しますが、探偵業の範疇ではなく、トラブルも多いため注意が必要です。一般社団法人日本調査業協会(日調協)の苦情処理データでも、「別れ工作・復縁工作」に関する相談が全体の約3分の1を占めており、契約前の説明と実際のサービス内容の乖離が主なトラブル要因として報告されています。

❌ 犯罪行為を助長する目的の調査

DV加害者が被害者の居場所を突き止めるため、ストーカーがターゲットの行動パターンを把握するためなど、明らかに犯罪や人権侵害を助長する目的の依頼は、探偵業法第9条で禁止されています。

❌ 公的機関しかできない調査

戸籍や住民票の不正取得、犯罪歴の照会、銀行口座の残高照会など、公的権限が必要な情報収集は探偵にはできません。弁護士であれば弁護士会照会(23条照会)で一部の情報を取得できますが、探偵に同じ権限はありません。

依頼者自身が法的リスクを負うケース

探偵に依頼する側も、以下のケースでは法的責任を問われる可能性があります。

違法な調査と知りながら依頼した場合

探偵に「スマホのLINEを見てほしい」「盗聴器をつけてほしい」と依頼し、探偵がそれを実行した場合、依頼者も共犯として不正アクセス禁止法違反や住居侵入罪に問われる可能性があります。

調査結果を違法に利用した場合

正当な調査で得た情報であっても、不倫相手の職場にバラす、SNSで公開するなどの行為は名誉毀損やプライバシー侵害に該当します。不倫相手への慰謝料請求でも解説していますが、調査結果の使い方を誤ると、逆にあなたが訴えられるリスクがあります。

ストーカー目的だと判明した場合

交際相手の行動調査を依頼したが、実はすでに別れた元交際相手をつけ回す目的だった——このような場合、ストーカー規制法に基づき依頼者が処罰される可能性があります。

信頼できる探偵事務所の見極め方

違法な調査を引き受けない事務所こそ信頼できる事務所です。以下のチェックポイントで見極めてください。

探偵業届出証明書を掲示しているか:探偵業法により、事務所内に届出証明書を掲示することが義務付けられています。ウェブサイトに届出番号が記載されていない事務所は避けてください。

契約前に重要事項説明があるか:探偵業法第8条により、契約の「締結前」と「締結後」にそれぞれ書面を交付し、説明を行う義務があります。締結前書面には、調査内容・期間・方法、料金の概算額と支払方法、解約時のキャンセル料、取得資料の処分方法、秘密保持に関する事項などが記載されていなければなりません。この説明なしに契約を急かす事務所は法令違反です。

「何でもできる」と言わないか:「LINEの中身も取れます」「銀行口座も調べられます」と謳う事務所は、違法な調査を行っている可能性が高いです。

調査方法を明確に説明するか:「尾行と張り込みで証拠を取ります」と調査方法を具体的に説明する事務所は、合法的な手法に基づいて調査している証拠です。

詳しくは探偵事務所の選び方で5つのチェックポイントを解説しています。

実際にあった行政処分事例

探偵業法違反で処分を受けた事例を知っておくことも、悪質業者を見抜く助けになります。警視庁が公表した処分事例には、警察手帳に酷似した手帳を提示して官職を詐称し、宅配業者を装って他人の邸宅に侵入した探偵業者のケースがあります。住居侵入罪と官職詐称により重い行政処分が科されました。

都道府県公安委員会は、法に違反した探偵業者に対して「指示」「営業停止(6か月以内)」「営業廃止」の行政処分を下す権限を持っています。各都道府県警察のウェブサイトでは行政処分の事例が公開されているため、依頼を検討している事務所が過去に処分を受けていないか確認することも有効な自衛手段です。

探偵に依頼できる範囲を理解した上で、自分の目的に合った探偵社を選ぶことが大切です。各社の比較はおすすめ探偵社ランキングで確認できます。

まとめ:「できること」と「できないこと」の境界線を知ることが依頼成功の第一歩

探偵に依頼できるのは、聞き込み・尾行・張り込みを手段とした合法的な情報収集です。浮気調査、素行調査、人探し、結婚前調査など幅広い調査に対応できますが、盗聴・不正アクセス・差別調査など違法な行為は引き受けられません。

この境界線を理解しておくことで、「頼んではいけない探偵事務所」を見抜く判断基準が身につきます。まずは無料相談で、あなたのケースでどのような調査が可能か、具体的に確認してみてください。

よくある質問

Q. 探偵が撮った写真は裁判で証拠になりますか?

はい、探偵が合法的な尾行・張り込みの中で撮影した写真や動画は、裁判で証拠として認められます。特に、ラブホテルや不倫相手の自宅への入退室を撮影した写真は、不貞行為の立証において最も強力な証拠です。ただし、違法な手段(盗撮・不法侵入など)で取得した証拠は裁判で認められ

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